伝え方の大切さを、実感したことはありませんか?
私は長年「怒りをはじめとする感情のコントロール」に向き合ってきました。
最近でも、怒りが人間関係に与える影響の大きさを痛感する出来事が続きました。
◆職場での理不尽さを訴えた男性
ある相談者は、継続雇用の保証を突然失い、会社から受けた理不尽な仕打ちを涙ながらに訴えていました。
その姿に、周囲の人々は心を寄せ、彼の状況が何とか良くなることを願いつつ、彼の悩みに真剣に耳を傾けていました。
ところが、誰かが「あなたは頭が良いから、きっと何か道があるはず。大丈夫ですよ」と声をかけた瞬間——。
彼は「僕が頭が良いなんて、どうしてわかるんですか!」と怒りを爆発させてしまったのです。
どうやら彼は、自分の能力がとても低いと感じていて、精一杯の努力をしていても、結果、会社に大切に扱ってもらえなかった。だから、「頭が良い」と言う他人の評価に、強い反発を覚えたらしいのです。
「誰も、僕の本当の心を理解してくれない!」そんな思いから、怒りが出てしまいました。
その途端、周囲の人に何が起こったか、想像がつきますか?
温かかった場の空気は冷え込み、誰もが口を閉ざして彼を支えようとしなくなりました。
周囲の人々の心には「この人は怒りっぽくて厄介な人らしい」という暗い影がさしてしまいました。
◆動物保護に奔走したボランティア
また、ある男性は動物保護のボランティア活動を続け、少しずつ支援を得ていました。
しかし、救助しても、救助しても、動物保護を求める通報は絶えず、支援を依頼した行政も動かず、SNSで情報発信しても集まるのは同情の言葉ばかり…。
限界に達した彼は叫びました。
「どうしてみんな無責任なんだ!」
そして、
「 同情なんて何の役にも立たない!」
その瞬間、それまで広がりつつあった支援の手が、すっと減ってしまったのです。
怒りを他人に向けてしまったことで、彼の純粋な動物愛の気持ちからでた言葉が、“他者を責める言葉”として受け取られてしまったからです。
◆怒りの出し方が、人を遠ざける
——二つの事例に共通していたのは、怒りを他人にぶつけてしまったことによって、せっかくの支援や共感が失われてしまったということでした。
喜怒哀楽は、もともと、人間がもっている自然な感情です。だから、感じるのは当たり前。
けれども、社会は、人と人との相互関係で成り立っています。
だからこそ、怒りをただぶつけても、人は味方になってくれないのです。
では、どうすればよかったのでしょうか?どうすれば、心の奥にある本当の気持ちを伝え、周囲を味方に変えることができたのでしょうか?
◆答えは、心理学にある
そのヒントは、人の心を科学で解き明かしてきた”心理学”のコミュニケーション技術にあります。
怒りや不安を「ぶつける言葉」から「届く言葉」へと変える方法。
それを学ぶことで、人との関係性は驚くほど変わっていきます。
「学んでみませんか? 心理学的な技術。」
ここでは、感情に振り回されず、自分も相手も大切にするための方法を、専門的な視点からお伝えしていきます。